「筋トレの前は、ストレッチだけでいい?」「何分も準備すると疲れそう」と迷うことはありませんか。ウォームアップは、長く複雑にするよりも、その日の体調を確かめながら、軽い全身運動から予定している種目へ少しずつ近づけると続けやすくなります。
先に要点
初心者の筋トレ前は、①体調チェック、②軽く全身を動かす、③当日の種目に近い動きを軽い負荷で試す、の3段階が基本です。5分は始めやすい目安であり、全員に同じ時間を求めるものではありません。痛み、めまい、胸の違和感、強いだるさなどがある日は、運動を中止して体調を優先しましょう。
ウォームアップは「今日の体を運動へつなぐ時間」
ウォームアップ(準備運動)は、いきなり本番の重さや速さで動かず、体調と動きを確認しながら運動の強度を段階的に上げる時間です。汗をたくさんかくことや、体を限界まで伸ばすことが目的ではありません。
厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」は、ある程度の強度の運動を行う際にウォームアップを行うこと、運動開始前に体調を確認することを勧めています。また、ウォームアップに関する系統的レビューでは、内容が適切なら運動パフォーマンスを支える可能性が示されています。一方で、実施時間や最適な方法は、年齢、経験、体調、種目によって異なります。
つまり、「この1種類をすれば必ずけがを防げる」と考えるのではなく、今日の自分が無理なく動けるかを確かめ、予定している運動へ橋をかけることが大切です。
初心者向け5分ウォームアップの考え方

1分|体調と動きやすさをチェック
まず立った状態で、呼吸、だるさ、睡眠不足、頭痛、めまい、胸の違和感、強い関節痛などがないかを確認します。首、肩、股関節、膝、足首を小さくゆっくり動かし、「いつもと違う痛みがないか」「左右で極端に動きにくくないか」を見ます。
ここで大切なのは、痛みを我慢して可動域を広げないことです。厚生労働省の運動前チェックにも、胸痛、めまい、体調不良、強い足腰の痛みなどが挙げられています。気になる症状がある場合はその日の運動を中止し、症状が続く、強い、突然現れた場合は医療機関へ相談してください。
2分|軽く全身を動かす
次に、その場歩きやゆっくりした足踏み、軽い腕振りなど、会話ができる程度の楽な動きから始めます。呼吸を止めず、動きが少しずつ滑らかになる感覚を目安にしましょう。
例としては、30秒ほどの足踏み、肩をすくめずに行う小さな腕回し、かかとの上げ下げ、浅いスクワットを数回、という流れがあります。どの動きも勢いをつけず、「もっとできそう」と感じるくらいで十分です。寒い日や朝一番など体が動きにくいときは、時間を固定せず少し長めに行います。
2分|予定している種目に近づける
最後は、その日の筋トレに似た動きを、軽い負荷と小さめの範囲から試します。スクワットをするなら自重で浅く数回、チェストプレスなら軽い重さで肩や肘の動きを確認する、といった具合です。
最初から本番の重さを持たず、軽い重さでフォームと呼吸を確認してから段階的に近づけます。動きが安定しない場合や、狙った部位ではなく関節に痛みが出る場合は、重さを上げないでください。フォームが分からないときは、自己判断で回数を増やすより、トレーナーへ確認するほうが安全です。
ストレッチだけでは足りない?
ストレッチには、同じ姿勢で一定時間伸ばす「静的ストレッチ」と、関節を動かしながら行う「動的ストレッチ」があります。どちらが良い・悪いと単純に分けるのではなく、目的と次に行う運動に合わせて使い分けます。
2016年の系統的レビューでは、長時間の静的ストレッチを単独で行った直後は、一部の力発揮に小さな低下がみられる可能性がある一方、短時間の静的ストレッチや、その後に動的な運動を組み合わせた場合の影響は小さいと報告されています。柔軟性が必要な動きでは静的ストレッチが役立つ場面もあります。
初心者の筋トレ前は、ストレッチだけで終えるより、軽い全身運動と、その日の種目に近い動きまでつなげると、本番のフォームを確認しやすくなります。
部位別に「何を動かすか」を決める
スクワットや下半身の日
足踏み、かかとの上げ下げ、浅いスクワットなどから始めます。股関節の場所や動かし方が分かりにくい方は、股関節とスクワットの基本も参考にしてください。膝だけを深く曲げるのではなく、足裏の接地と股関節の動きを一緒に確認します。
背中・肩・腕の日
小さな腕振り、肩をすくめない腕回し、軽い負荷でのプル・プレス動作を試します。「肩甲骨を必ず寄せる」と決めつけず、種目に合わせて肩や肩甲骨が自然に動くかを確認します。詳しくは肩甲骨の動きの基本をご覧ください。
体幹を使う種目の日
力を入れ続けるのではなく、楽な呼吸を保ちながら姿勢を作ります。体幹は腹筋だけを指す言葉ではありません。体幹と腹筋、呼吸の関係を先に理解しておくと、息を止めずに動くイメージを持ちやすくなります。
よくある失敗と整え方
「5分やれば必ず大丈夫」と考える
5分は忙しい日にも始めやすい目安です。体温、体調、トレーニング内容によって必要な準備は変わります。重い負荷や複雑な動きに取り組む日は、軽いセットを追加し、十分に動けることを確認してください。
反動をつけて強く伸ばす
痛みを感じるところまで勢いよく伸ばす必要はありません。軽い張りを感じる範囲にとどめ、呼吸を続けます。鋭い痛み、しびれ、力が抜ける感覚がある場合は中止してください。
ウォームアップで疲れ切る
本番前に息が大きく上がり、フォームが崩れるほど行うと、筋トレに使う余力が減ります。終わったときに「動きやすくなった」「本番を始められそう」と感じる程度を目安にします。
よくある質問
ウォームアップは毎回同じ内容でよいですか?
最初の体調チェックと軽い全身運動は共通にしやすいですが、最後はその日の種目に合わせます。下半身の日と上半身の日では、確認したい動きが異なるためです。
ウォーキングだけで終えてもよいですか?
ウォーキングは全身を軽く動かす段階として使えます。その後に、スクワットやプレスなど予定する種目を軽い負荷で行い、動きを確認すると本番につながりやすくなります。
痛みがある日は、動かしたほうがよいですか?
原因を自己判断して無理に動かさないでください。強い痛み、急な痛み、腫れ、しびれ、めまい、胸の違和感などがある場合は運動を中止し、必要に応じて医療専門職へ相談してください。この記事は診断や治療の代わりではありません。
まとめ|軽く動き、今日の種目へ少しずつ近づける
筋トレ前のウォームアップは、難しい種目をたくさん行う時間ではありません。体調を確認し、軽く全身を動かし、予定している種目を軽い負荷で試す。この3段階なら、初心者でも毎回の準備を組み立てやすくなります。
LIFESHIFTでは、運動経験やその日の状態を確認しながら少人数でトレーニングを進めます。自分に合う準備運動やフォームを知りたい方は、体験・お問い合わせからご相談ください。
参考資料
- 厚生労働省「身体活動・運動の推進/健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」
- 厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」PDF
- Fradkin AJ, et al. Effects of warming-up on physical performance: a systematic review with meta-analysis. 2010.
- Behm DG, et al. Acute effects of muscle stretching on physical performance, range of motion, and injury incidence in healthy active individuals: a systematic review. 2016.

